
戦後ナポリを舞台に、二人の少女が女として、書き手として、それぞれの輪郭をつくり上げていく長篇連作の第二部。新しい名を得た友と、それを見つめる「私」の距離が、結婚や海辺の夏を通してゆっくりと組み替わっていく。カバーは透明感のある水彩で描かれた海岸の情景。波打ち際にひとり佇む少女の白い後ろ姿と、沖に向かって駆けていく二人の姿が、淡い青と砂のクリーム色のなかに配される。原題の筆記体と著者名のサインが空と砂浜にそっと重ねられ、過ぎ去った夏の遠さと、揺らぐ自己像の物語をしずかに予感させる。
著春坂咲月
装丁早川書房デザイン室
装画シライシユウコ
早川書房 / 2017年
文学・評論