
コロナ禍の夏を越え、自転車で旅に出た人々の物語。日常から締め出された春のあとで、忘れていた大切なものを確かめにいく日経小説大賞受賞作。カバーは透明感のある水彩で描かれた二人の人物と自転車。淡い空の滲み、薄紅と灰みを帯びた紫がやわらかく重なり、輪郭はほどけたまま余白へ溶ける。縦組みのタイトルは細い明朝で大きく置かれ、その上に筆記体の欧文が小さく寄り添う。にじむ景色と凛とした書体の対比が、揺らぎながら前へ進む心の手触りを静かに伝える。

著OffitPaulA.、関谷、冬華、大沢、基保
装丁田中久子
装画木原未沙紀
日経BPマーケティング (発売) / 2020年
人文・思想