
善意から始まった科学が、なぜ取り返しのつかない災いへ転じてしまうのか。アヘン、トランス脂肪酸、ロボトミー手術、DDT禁止——七つの事例を通して、知の暴走と正義の落とし穴をたどるノンフィクションである。表紙は淡い青緑の地に、線画で描かれた芥子の花と頭蓋骨、巻きつく蛇がモノクロームで配される。大きな明朝体の「禍いの科学」が縦に走り、その下を帯のような筆致で「救世主だったはずなのに、いったいどこで間違えたのか?」と問いかける構図。冷たい色面と緻密な線画の対比が、進歩と禍いの危うい近さを静かに示している。

著ミラン・クンデラ、西永良成
装丁田中久子
装画横山雄
集英社 / 2024年
文学・評論