
オランダの作家による、森に暮らす生きものたちをめぐる短い物語集。リスは「なにげない話」が好きで、悩めるどうぶつたちが次々と彼のもとを訪ねてくる。淡いグレーの地に、どんぐりを抱えた小さなリスを中心に、きのこ・芽生え・スノードロップ・木の実が点々と配される。素朴な版画調のタッチと、細く控えめな明朝のタイトル。下部の鮮やかなイエローの帯が静けさのなかに一点の明るさを差し込み、とりとめない会話のあたたかさが装丁全体から立ちのぼる。
著武田綾乃
装丁川谷康久
装画おとないちあき
新潮社 / 2019年
文学・評論