
母が嫌い」だった自分が母となり、娘と向き合う日々を綴ったエッセイ集。確執を抱えたまま親になった著者が、自信のなさや戸惑いを率直に書き留めていく。生成りの地に紅い縦組みの手書き風タイトルが置かれ、中央には二つの手が小皿に載った苺の和菓子を差し出し合う線画。輪郭のみで描かれた腕と、赤く色づいた苺だけが浮かび上がる構図が、世代を越えて受け渡される甘さと痛みを静かに示している。下部の朱い帯が、その距離をやわらかく結びとめる。

著角野栄子
装丁田中久子
装画松本大洋
KADOKAWA / 2019年
文学・評論