
架空の王国アルヤを舞台にした宮廷物語の第一巻。深い青の髪と瞳をもつ若き人物が、剣の柄に両手を重ねて静かに正面を見据える、シリーズの幕開けを担う一冊。表紙は淡い水彩のにじみで人物を起こし、白を基調とした余白に金の刺繍や宝飾、青い房飾りが繊細に置かれる。タイトルは明朝体の漢字を大胆な余白とともに縦に流し、巻数の「1」を朱で差し色にして文庫らしい清潔な構図にまとめている。澄んだ青と装飾の金が、王宮の冷ややかな空気と若き者の決意を同じ画面に共存させる。

著北杜夫
装丁須田杏菜
装画オオクボリュウ
KADOKAWA / 2018年
文学・評論