一覧に戻る文学・評論優しき悪霊 溝猫長屋 祠之怪輪渡颯介江戸の長屋を舞台にした怪異譚シリーズの一作。幽霊が見えてしまう少年たちと、人と霊が交わる町並みの怖さと可笑しさを描く時代小説である。表紙は朱に近い橙を地に敷き、藍の浴衣をまとった女性、覗き込む子どもたち、振り返る三毛猫と黒猫を配する。障子の格子と剥がれかけた壁紙の質感、わずかに崩した筆致の人物描写が、現世と異界の境目をやわらかく曖昧にする。題字は白い短冊に黒の明朝で端正に据えられ、画面の賑わいを静かに引き締めている。About出版社講談社出版年2019年判型文庫ジャンル文学・評論Credits装丁鈴木久美(角川書店装丁室)装画おとないちあきAmazonで見る