
夜空の下、望遠鏡に腰かけた長い髪の少女と、トランクの上に立つ小さな熊。タイトルの「プランタン(春)」と「優雅な退屈」という相反する言葉から、ひとつの場所にとどまる退屈と、その内側にひそむ夢想とが、静かに重ねられているように読める。深い茶を基調に、月や少女のドレスだけが淡く浮かび上がる配色は、銅版画を思わせる繊細な線描と相まって、古い絵本のページをめくるような手触りを生む。タイトルは縦組みで右上に控えめに据えられ、画と余白の沈黙がそのまま物語の時間になっている。

装丁川名潤
装画Francois KUPKA+坂口恭平
Francois KUPKA / 2015年
文学・評論