
大坂・堂島の米会所を舞台に、一人の若者の立身を描く時代小説シリーズの第三巻。立志篇と銘打たれた本巻は、志を立てて歩み出す時期にあたる。表紙には、長い黒髪を背に流し黒の羽織袴に身を包んだ青年が、青空と白雲、緑の山並みと松林を背景に正面を見据えて立つ。奥の石段にはもう一人の小さな人影。タイトルは筆致を残した黒文字、巻数の「3」は朱色の四角に白抜きで添えられる。静謐な日本画調の佇まいが、これから道を拓こうとする主人公の覚悟を穏やかに立ち上らせている。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論