
母と息子を狙う連続殺人を描いたノンストップ・クライムノベル。捜査線上に浮かんでは消える犯人像が、優雅に微笑む悪魔として読者の前に立ち現れる。漆黒の地に白抜きで大きく組まれた漢字タイトルが画面上部を支配し、その下には人形めいた天使たちが折り重なる立体オブジェが配置される。淡い藤色のハイライトが彫像の陰影をなめらかに浮かび上がらせ、英文タイトルは細い明朝で控えめに添えられる。荘厳さと退廃が同居する暗がりの構図が、本編に潜む不穏な美しさを静かに予告している。

著森晶麿
装丁阿部ともみ
装画平沢下戸
朝日新聞出版 / 2014年
文学・評論