
孤絶した硝子の塔を舞台に繰り広げられる、現代本格ミステリの長編。閉ざされた塔のなかで起こる連続殺人と、そこに集った人々の思惑が交錯していく。カバーは紺青の夜空に浮かぶ大きな月、星雲を思わせる粒子の散らばり、そして中央にそびえる三角錐の硝子塔という構図。塔は内側から発光し、紫やマゼンタの光が結晶のように屈折する。タイトルは白抜きの明朝で縦に大きく据えられ、足元には荒れた海。幻想的でありながらどこか冷ややかな密室の気配が、本格ミステリの厳格な構造そのものを画面に映し出している。
著焦田シューマイ
装丁川谷康久
新潮社 / 2025年
文学・評論