
芥川賞の候補に挙がりながら受賞を逃した戦前・戦中期の短編を集めたアンソロジー。太宰治をはじめ、若き作家たちが青春の日々に残した忘れえぬ作品群を編んでいる。淡いクリーム地に黒一色、太い明朝で組まれた「芥川賞候補傑作選」の文字が紙面いっぱいに躍り、その奥から線描の人物が顔をのぞかせる構成。縦組みの帯文と小さな吹き出しの「この傑作が、なぜ落ちた…」が静かな緊張を添える。落選という余白に光を当てる編集の視線が、装丁の余白と文字の重みにそのまま重なっている。
著尾崎世界観
装丁古屋郁美
文藝春秋 / 2019年
文学・評論