
美術館を舞台にした、開幕直前の展覧会をめぐる人間模様を描く長編小説。学芸員らしき人物が観客らに作品を解説する光景の周りに、絵筆や絵具のチューブ、ラベルといった裏方の道具が散りばめられている。表紙は壁に並んだ風景画と、後ろ姿の鑑賞者たちを俯瞰気味に切り取ったイラストレーション。赤い床と黄土色の人物群がぬくもりのある色調をつくり、右上には黄色い短冊にタイトルを縦組みで載せて視線を誘導する。完成した展示と、それを支える準備中の手仕事。両方の時間が一枚に同居している。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論