文学・評論
老子収集狂事件: 見習い編集者・真島のよろず探偵簿
藤野恵美
見習い編集者・真島が老子の稀覯本をめぐる謎に挑む、よろず探偵簿シリーズの一篇。古書蒐集家の屋敷を思わせる重厚な書架を背景に、赤いチャイナドレスを纏い緑の巻物を手にした女性と、ベストにネクタイ姿で椅子に腰掛ける青年が描かれる。床に散らばる和紙、シャンデリアの淡い光、市松の床面が物語の劇場性を立ち上げる。タイトルは白抜きと水色の縁取りで縦に大きく置かれ、レトロモダンな挿絵と相まって、書物をめぐる人間模様を軽やかな探偵譚として差し出している。