
匿名作家のアシスタントを引き受けたフローレンスが、最悪にして最高の人生の転機に巻き込まれていく——アメリカ発のサスペンス長編。カバーはくすんだブラウンを地に、楕円の鏡を覗き込む人物のフラットなイラストを大きく据える。鏡の中の顔と外側で持ち手を握る黒髪の人物が同じ図像で重なり、「WHO IS MAUD DIXON?」の手書き風タイポが添えられる。タイトルは縦組みの明朝で右上から落とし、上下を反転させた帯文字が下半に滲む。鏡像と反転文字、二つの仕掛けが「もう一人の自分」というテーマをそのまま装丁の構造へ翻訳している。
著森晶麿
装丁ハヤカワ
装画丹地陽子
早川書房 / 2014年
文学・評論