
おでん屋を舞台に、女将の恵が客たちの縁を結んでいく人気シリーズの第五作。AI婚活と元占い師という現代的な題材を、湯気の立つカウンター越しの人情劇として描く。カバーには店内で静かに目を伏せる白い割烹着の女将が、温かい光をまとうイラストで配される。背景は深い藍を基調に、瓶や食器が淡く溶け込み、表題の白い明朝体と「5」を抱く橙の円が画面に小気味よいリズムを生む。料理の湯気が、人の機微に寄り添うこの物語の手触りそのものを伝えている。
著野中ともそ
装丁大岡喜直
装画シマ+シンヤ
光文社 / 2023年
文学・評論