
美食を切り口に事件を追う警部を主人公にしたシリーズ第三作。今回は合コンパーティーを舞台にした詐欺事件が描かれ、軽妙な口当たりとミステリの仕掛けが同居する一冊である。カバーは黒い鍋に盛られた鰻、艶やかな殻つきの牡蠣、苺を飾った赤いカクテルといった料理を主役に据え、星の散る夜のような群青の背景に華やかなピンクが差し込む。タイトル文字は白と赤のグラデーションで揺らぎ、帯の手描き文字が物語の勢いを引き受ける。料理イラストの誘惑と派手な色彩の重なりが、軽やかな読み口の奥にある事件の翳りを予感させる。
著LiuKen、藤井太洋、小西、直子、古沢、嘉通
装丁長﨑綾
装画日下明
東京創元社 / 2023年
文学・評論