
闇深い森のなかで子供たちが生き延びを賭けて道なき道を進む——五十嵐貴久による再生と不信のサスペンス。表紙は油彩と思しい絵画的タッチで描かれた深い森。重く沈んだ緑と黒のあいだに、ひと粒の灯のような光源が放射状に滲み、湿った空気を裂く。中央に置かれた白い明朝の「蘇生」二文字が、暗がりのなかで唯一の呼吸のように浮かぶ。帯の白と緑のグラデーションが森から地上へ抜ける気配をつなぎ、絶望の奥に差す一条の光をそのまま装丁に翻訳している。
著桂望実
装丁高柳雅人
装画Jiwoon Pak
光文社 / 2022年
文学・評論