
副題に「THE TRUE MONSTERS STORY」を掲げ、昭和の盛り場めいた風景に異形たちが交錯する長編。藍と砂色に絞ったパレットで、放射状の光線、塔のような建物、幟旗、蓄音機、面をつけた者たちを一画面に押し込んだ密度の高い装画が表紙を覆う。タイトルは淡いブルー、著者名は白抜きで帯状に重ねられ、レトロ印刷を思わせるざらついた質感が全体を通す。ノスタルジーと不穏が同じ皮膜で隣り合う気配を、密集する図像と抑えた色数が静かに立ち上げている。
著田辺聖子
装丁鈴木久美
装画おぎわら朋弥
角川書店 / 2019年
文学・評論