
引きこもりがちな少女のもとに、神様たちがふらりと現れる日常ファンタジー。湯気の立つ鍋を囲み食卓を共にする情景に、可笑しみと親密さがにじむ。表紙はにぎやかな団欒の水彩画。ふくよかに笑う者、髭をたくわえた老人、若い女性——身近な姿に翻訳された者たちと、眼鏡の少女が一つの卓を囲む。朱と橙の暖色がやわらかく溶け合い、手描きの筆文字が湯気のように紙面で揺れる。背景にのぞく本棚もまた、物語が暮らしの只中にあることを告げている。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論