
在宅医療の現場で患者の最期と向き合う医師を描いた連作短篇集。終末期医療における「看取り」を、医療者と患者・家族それぞれの視点から静かに掬い上げる。カバーは淡い水色を基調に、白いシーツの整えられたベッド、窓辺に佇む人影、テーブルに置かれた一輪の薔薇を平面的なイラストで描く。輪郭を抑えた淡彩と余白が、病室の張りつめた空気と、そこに流れる穏やかな時間を同居させている。タイトル文字は黒でくっきりと置かれ、静謐な画面のなかで「息」の重みを際立たせる。

著白井智之
装丁印南貴行
装画凪
実業之日本社 / 2021年
文学・評論