
女子高生ハッカーが0.02ミリの極小チップをめぐる事件に巻き込まれていくサイバーミステリ。制服姿の少女と少年がタブレットやノートPCとともに描かれ、現代の若者とテクノロジーの近さがそのまま物語の入口になっている。表紙はやわらかな水彩タッチのイラストを主役に据えつつ、背後には黄色と黒のバリケードテープを思わせる斜めの帯、宙に舞う白いキューブ、手書き風に走るカラフルなタイトル文字を重ね、整った日常に走る一筋の異変を画面の上で可視化する。少女の凛とした横顔と崩された書体のコントラストが、軽やかさの奥に潜むスリルを予感させる一冊。

著宮本輝
装丁緒方修一
装画古屋亜見子
集英社 / 2015年
文学・評論