
青く澄んだ水のなかを揺蕩う三人の少年少女を描いた、夏の手触りを閉じ込めた一冊。深い藍を背景に、朱色のタンクトップ、若草色のシャツ、淡い藤色の半袖が重なり合い、無数の気泡が画面全体に弾ける。中央で逆さに浮かぶ人物、目を閉じて沈む少女、横顔を寄せる少年——その配置が炭酸のような浮遊感をたたえ、線の細やかさと水彩の濁りが少年期特有の透明と憂いを同時に立ち上げる。タイトルは縦組みの太い明朝で右側に静かに据えられ、絵の熱を受け止める余白として機能している。

著青柳碧人
装丁関口信介
装画小倉マユコ
文藝春秋 / 2016年
文学・評論