
雨に濡れる夜の街を背景に、ハットの男と黒いドレスの女、サングラスの男が交差するハードボイルドな物語の気配を漂わせる一冊。表紙はモノクロームの線画に淡いベージュを差し色とした劇画調のイラストレーションが大胆に画面を占め、上部の「FilmNoir」のホワイトの太字レタリングと、朱印を思わせる赤地に「黒色影片」と抜いた題字が対角に配置されている。墨色と肌色、そして一点の赤——古い映画館の看板を思わせる構図そのものが、紙面の内側で進行する物語の予告編になっている。

著大塚已愛
装丁新潮社装幀室
装画獅子猿
新潮社 / 2019年
文学・評論