![重力の虹[下]](/_next/image?url=https%3A%2F%2Fbgutgfpjlsaxdprarhhr.supabase.co%2Fstorage%2Fv1%2Fobject%2Fpublic%2Fcovers%2F9e1d27f4-9f32-4e2e-917b-250a512f4348.webp&w=3840&q=75)
第二次大戦末期のロンドンを起点に、V2ロケットと欲望の軌跡が世界中へ拡散していく、20世紀文学の極北とされる長篇の下巻。暗闇に沈む室内のジオラマめいた写真が表紙を覆い、緑の植物片や赤い椅子、宙吊りのオブジェが乱反射する光のもとで散らばる。上部には英文タイトルと刊行年「1973」が金色の細字で控えめに置かれ、下方の白地のラベルに墨で組まれた邦題と訳者名が貼り込まれる。崩壊しかけた空間そのものを物体として差し出すような装画と、書物の体裁を保つ端正な文字組みの落差が、虹のように湾曲する物語の射程を予感させる。

著柚木麻子
装丁新潮社装幀室
装画原裕菜
新潮社 / 2017年
文学・評論