
土曜だけ営業する小さなカフェ「チボリ」を舞台にした連作ミステリ。常連客が持ち込む日常の謎を、店に集う人々がそれぞれの視点から解きほぐしていく。カバーは夜の街灯にぼんやりと照らされた洋館風の店と、その前に立つ黒いワンピースの少女を描いたイラストレーション。紅葉した枝、濡れた石畳、窓から漏れる暖色の灯りが深い藍と橙のコントラストで重ねられ、タイトルは白の明朝で縦に控えめに配される。物語の静かな夜更けと、扉の奥に待つあたたかな団欒の予感が、一枚の絵に同居している。

著市川哲也
装丁西村弘美
装画まいまい堂
東京創元社 / 2023年
文学・評論