
下町の小さな居酒屋を舞台に、訪れる客たちとのささやかな交流や食卓の温もりを描いた人情小説シリーズの第三巻。表紙は夕暮れの商店街を背景に、傘を手にした女性と店先に立つ常連客らしき人物たちをやわらかなタッチのイラストで描き、黄昏の黄やオレンジが画面全体に滲む。タイトル文字は筆書き風の太字で温度を保ち、下段には黒帯と橙の明朝で「にじむ人情 染み入る旨さ。」のコピー、丸囲みの「疲れたときにちょっと一杯」が徳利の絵とともに添えられる。郷愁を呼ぶ色面とコピーの配置が、物語の湯気立つ滋味をそのまま視覚に置き換えた一冊。
装画sime
ansyyqdesign / 2013年