
ブルックナーを偏愛する若き「姫」と、彼女を取り巻く男たちの音楽小説。クラシック愛好家たちの繊細な感情の機微が、ユーモアと諧謔を交えて綴られる。表紙はごく淡いピンクグレーの地に、本を読む少女のイラストを大きく配し、楽譜の帯が画面下方へ流れ落ちていく構図。譜面の上には小さな人物のシルエットが歩み、葉や蔦が画面上部から絡む。タイトルの「姫」一字だけが赤で抜かれ、不機嫌の核を示す。音楽と物語が一枚の絵の中で静かに重なり合っている。
著桂望実
装丁高柳雅人
装画Jiwoon Pak
光文社 / 2022年
文学・評論