
小学校の通学路を舞台に、一年生から六年生までの個性豊かな子どもたちを描いた連作長編。「つばさ係」と呼ばれる五年生の女の子の視点を軸に、登下校という日常のなかで交差する子どもたちの心のうごきを丁寧にすくい上げる。表紙はやわらかな水彩で、ランドセルを背負った六人がそれぞれの色の傘を手に石段を登っていく場面。黄色いレインコート、ピンクや緑、青の傘が雨上がりの光のなかで透けて、奥に広がる空の青と草原の黄緑へとつながる。タイトル文字は手描きの墨字で軽やかに弾み、絵の湿度と呼応している。雨の匂いと、子どもたちの足取りの軽さがそのまま装丁になったような一冊。

装丁岡本歌織
装画原倫子
マガジンハウス / 2024年
文学・評論