
エストニア出身の謎めいたプログラマーを追って、激動の20世紀後半を生きた少年少女たちの軌跡が浮かび上がる長篇。表紙には淡い水彩で描かれた小舟と二人の人物が、青と白がにじむ波間に置かれている。背景は飛沫のような白い抜きと滲みで構成され、空とも海ともつかない広がりの中に船が浮かぶ。タイトルは縦組みの黒い明朝で、絵の上に静かに重ねられ、余白を残した白い地と相まって涼やかな印象を生む。手放されたものを探し続ける物語の余韻が、この透明な一艘の絵に託されている。

著EverettPercival、木原善彦
装丁鈴木成一デザイン室
装画吉田雨水
河出書房新社 / 2025年
文学・評論