
母が訴える陰謀と父が示す事実、息子はどちらの言葉を信じるべきか——前巻から続く緊迫を終幕へと導く、心理サスペンスの後編。表紙には雪に覆われた農場が静かに広がり、霜をまとった枯れ草が前景にもつれ合うように倒れかかる。遠景には小さな家屋がぽつりと建ち、雪をかぶった裸木が灰白の空へ枝を伸ばす。油彩のような筆致が冷気と静寂を運び、黒い明朝体の題字が画面に深く刻まれる。何もかもが凍りつくこの景色そのものが、真実の輪郭の見えない物語の不穏さを体現している。
著森美樹
装丁新潮社装幀室
装画星野ちいこ
新潮社 / 2018年
文学・評論