
地震後の関西を舞台にしたミステリ作家による長編で、平穏な日常を切り裂く出来事と論理の応酬を描く。表紙は満開の桜に囲まれた若い女性のイラストが画面いっぱいに広がり、サーモンピンクの花と新緑のコントラストの中、ボーダーシャツに薄手のアウターを羽織った人物が驚いたように手を翳す。淡い藤色の帯に白抜きの明朝でタイトルと著者名が縦に置かれ、左上には小さく英字の副題がそっと添えられている。やわらかな春景色と、その只中で何かを察知した一瞬の表情が、穏やかな世界に潜む不穏を静かに予告している。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論