
1938年の台湾縦貫鉄道を旅する日本人作家・千鶴子と通訳・千鶴の物語。食と言葉、植民地下の距離感が、ふたりの女性の旅を通じて静かに描き出される。淡いクリーム色の地に、洋装の作家と黄の長衫をまとう通訳が駅舎を背景に向き合うイラストが配される。タイトルは黒の明朝で大きく、上下には橙と灰の植物文様が連なり、英題が小さく寄り添う。腰巻の赤と手書き文字が画面を引き締め、台湾の風土と昭和初期の旅情を一枚に重ねている。

著ミラン・クンデラ、西永良成
装丁田中久子
装画横山雄
集英社 / 2024年
文学・評論