
台湾の現代作家による近未来をテーマにした短篇集の第一巻。広い空間に横たわる人物と、透明な台車を押す人物が、淡い水色と灰みがかったタイル床の上に描かれる。アーチ型に切り取られた構図がどこか医療施設や境界の場のような気配を漂わせ、画面の静けさが物語の不穏さを予感させる。タイトルは流れるような筆記体の欧文と端正な明朝体の和文で組まれ、装画の余白と響き合う。近未来という設定の重さを、湿度のある線と色で穏やかに受けとめた一冊。

著ミラン・クンデラ、西永良成
装丁田中久子
装画横山雄
集英社 / 2024年
文学・評論