
学校という場所で音楽に触れた者たちの記憶を、四つの短編で描く連作集。中学校・高校の音楽室で出会った楽器や合唱、放課後のかすかな響きが、登場人物それぞれの輪郭を静かに浮かび上がらせる。淡いクリーム色の地に、ピンクのソプラノリコーダーを両手で構える線画が中央に置かれ、上部の欧文「School and Music」も同じピンクで揃えられている。塗りの少ない細い線と余白が、教室の白い壁や午後の光のような空気感を作り出す。手のひらに収まる小さな楽器の親密さが、青春期の音楽体験のささやかさそのものに重なる装丁である。
著村井理子
装丁鈴木成一デザイン室
装画及川ゆき絵
CCCメディアハウス / 2020年
文学・評論