
1970年代に少女漫画の地平を切り拓いた漫画家による回想録。『風と木の詩』を世に出すまでの逡巡や、大泉サロンと呼ばれた共同生活の日々が、当事者の声で綴られる。鮮やかな水色を全面に敷いた表紙には、金髪に緑の瞳の少年が中央に大きく描かれる。黒のジャケットに白いシャツの襟と袖がのぞき、指先を胸の前で軽くたわめた仕草が物語性を帯びる。明朝体のタイトルは縦組みで右上に置かれ、著者名は左に控える。少年の姿そのものが、この一冊が生まれるまでの長い思索を静かに証言している。

著小竹哲
装丁三木俊一
装画中島梨絵
集英社 (発売) / 2023年
エンターテイメント