
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を起点に、感想文部に届いた予告状から名古屋爆破へと駆け抜ける長編ミステリー。深い藍を背景に、縦縞の浴衣をまとった少女が背中に本を抱えてこちらを振り向く構図で、白い水しぶきと火花めいた光の粒が画面いっぱいに散る。背後にうっすら走る方眼の線が、夜空と都市の座標を同時に立ち上げる。タイトルは縦に大きく組まれ、白い文字が嵐の中の道標のように据えられる。赤い帯の太く弾むレタリングが、静かな夜の藍と少女のまなざしに、確かな予告のざわめきを差し込む。

著蒼月海里
装丁太田規介
装画秋赤音
PHP研究所 / 2023年
文学・評論