
ミステリ作家・都筑道夫がラジオやテレビのために書き下ろしたドラマ脚本を集成した「完全版」の下巻で、放送メディアに向けた仕事の全貌をたどる一冊。表紙はクラフト紙のような黄土色の地に、青緑で塗られた島か地形図のような図像を配し、点線と数字、等高線めいた曲線で構成されている。タイトル文字は黒の角ばった和文書体で縦組みに置かれ、巻数を示す「下」だけが図像の上にひときわ大きく刷られている。地図的な記号性と粗い紙質が、放送台本という一回性の言葉を地層のように掘り起こす編集の手つきと響き合う。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論