
佐藤さとるの名作に着想を得た、小さき者たちの世界を描く絵物語。コロボックルと呼ばれる小人たちの暮らしの一場面を、原作小説の世界と響き合わせながら絵で紡いでいく。白い大ぶりのマグカップによじ登り、鉛筆や絵筆を抱え、菜の花の黄を背に動き回る小人たちの姿が、線の細やかな水彩で描き起こされる。タイトル文字は緑のクラシックな書体で控えめに配置され、絵そのものに紙面の主役を譲った構成。手書きの紙片や脱げた靴までを画面に散らす細部が、誌面の余白を物語の続きとして開いている。
著野中ともそ
装丁大岡喜直
装画シマ+シンヤ
光文社 / 2023年
文学・評論