
黄泉坂——あの世とこの世の境に立つ少女たちを描いた連作。境界の向こうとこちらを行き来する者たちの、静かでまっすぐな物語が綴られる。淡い水色を地に、波文様と白い大蛇の体が画面を横切り、その上で白装束に黒髪の少女と、現代の子どもたちが寄り添う構図。タイトルは縦書きの白い短冊枠に明朝で据えられ、舞い散る花弁と一羽の鳥が画面に呼吸を与える。和の意匠とイラストレーションの軽やかさが、生者と死者の交わる坂道の気配をやわらかく立ち上げている。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論