
バブル期日本で「表現の自由」を拡張したサブカルチャーの象徴的存在、漫画家・根本敬の世界をめぐる評論集。精神科医である著者が、90年代の「悪趣味」ブームと平成末期の「ヘイト」を地続きの問題として読み解いていく。表紙は山吹色一色の地に、黒の手描き線画。頭部から樹木が伸び、亀や両側から差し出される手など、雑多なモチーフが頭の中に同居する図像が中央に据えられる。タイトルは明朝体で硬質に組まれ、図像のざわつきと活字の沈着さが拮抗する。過剰と理知のあいだに立つ本書の姿勢を、一枚の絵にそのまま重ねた装いである。

著EverettPercival、木原善彦
装丁鈴木成一デザイン室
装画吉田雨水
河出書房新社 / 2025年
文学・評論