
高校の料理部を舞台に、調理と青春が交差する物語。手前にはカレーライス、奥には目玉焼きとハンバーグ、ご飯茶碗、そして調理場に立つ三人の生徒の姿が、淡い夕陽のような橙色で描かれる。窓から差す光、木の床、エプロン姿のシルエットまで、イラストレーションは温度の感じられる色面と細い線で構成され、料理の湯気までもが空気として伝わってくる。タイトル文字は明朝のやや太めの墨で大きく置かれ、絵の柔らかさを引き締める役割を果たす。食卓の手前から物語の奥行きへと視線を誘う、調理場の時間そのものを切り取ったような一冊。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論