
ベートーヴェン以降のクラシック作曲家たちが、同時代の批評家からどれほど痛烈な言葉を浴びせられたかを集成した辞典の下巻。表紙には荒い筆致で描かれた作曲家の肖像画を大きく配し、その顔の上に明朝体の「酷評」を鉤括弧で挟んだ題字をくっきりと白地に重ねる。下部の帯では「病」の一字を極端に拡大し、「強烈な悪口雑言の奔流」という縦組みコピーが視線を引き寄せる。沈鬱な油彩の人物像と、活字の鋭さ・大きさの落差が、賛辞ではなく罵詈の言葉を浴び続けた作家たちの不穏な空気をそのまま誌面に映している。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論