
アラブ系アメリカ人女性たちの生を描いた現代アメリカ文学短篇集。複数の世代にまたがる困難と、そこに通う希望の声を束ねる一冊である。深い緑の地に、モノクロームで描かれた女性の横顔が静かに置かれ、その顔の中央には幾何学的なアラベスク模様が白い線描で重ねられている。素顔を覆うように、しかし装飾のように立ち上がる紋様が、出自と現在のあいだに立つ娘たちの輪郭を示す。緑と肌の白、線の精緻さの拮抗が、表題のもつ祈りに似た響きへと静かに繋がっていく。

装丁岡本歌織
装画原倫子
マガジンハウス / 2024年
文学・評論