
料理愛好家として知られる著者が、自身の子育てとごはんの記憶を綴ったエッセイ。長男の出産後に病院で食べたおにぎりの味から語り起こされ、家族のための日々の食卓と、そこから受け継がれていくものを率直な言葉でつづる。カバーは上部に淡いグリーンの帯状の地を敷き、明朝体のタイトルを白抜きで配置。中央には眼鏡をかけ、お玉と片手鍋を持ってエプロン姿で立つ人物の線画イラストを大きく置き、余白を生かした構成にまとめている。台所に立つ姿そのままの軽やかさと、食卓に流れる時間の温度が、装丁の柔らかな緑と素朴な線に重なる一冊。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論