
歌人でありミュージシャンでもある書き手が、日々の隙間に潜む小さな存在たちを掬い上げた一冊。炎をまとった猫、シルクハットの幽霊、雷雲を背負うロボット、楽器を抱える骸骨、旗を掲げる少年——白地の表紙には、出自も縮尺もばらばらの異物たちが図鑑のように整然と並べられ、誰もが主役にならないまま等しく息づいている。タイトルと著者名は右上に控えめに置かれ、余白がそれぞれの輪郭を際立たせる。秘密の住人たちと出会う扉が、静かに開いている。

著原田ひ香
装丁名久井直子
装画西村ツチカ
角川春樹事務所 / 2023年
文学・評論