文学・評論
留萌本線、最後の事件: トンネルの向こうは真っ白
山本巧次
廃線の足音が近づく北の鉄路を舞台に、「最後の事件」というタイトルが旅情と謎を同時に呼び込む一冊。トンネルの先に広がる白の予感が、行き止まりの物語へと読者を誘う。表紙は夕焼けに染まる無人駅のホーム。橙と黄が滲む空、影になった遠い山並み、奥に停まる小さな車両、ホーム端に佇むふたつの人影が、ひとつの構図に収められている。グラフィカルに整理された色面とシルエットは静かに澄み、長い線路の先に何かを潜ませて見える。縦組みの白い題字が、燃える空にくっきりと浮かぶ。