
近未来、家族に「AI」を迎えるという主題を、軽やかな筆致で描いた一冊。クリーム色の地に立つのは、ピンクのエプロンを纏い静かに振り返る少女。耳元には翼のついた小さな円形のデバイスがあしらわれ、人と機械の境界をそっと示唆する。黒いゴシックの題字のうち「AI」の二字だけが鮮やかなピンクで抜かれ、ルビに「アイ」と添えられた愛称が、無機質な略号を一気に固有名へと変える。装画のやわらかさと一字の色が、家族という器に迎え入れられる新しい存在の輪郭を浮かび上がらせている。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論