
バイト仲間とクラブ、フェス、恋愛と、騒がしい日々のなかで「普通」の輪郭を問い直す長編小説。語り手たちのざわめきが、生活の手触りごと立ち上がってくる一冊である。鮮やかな黄色を背景に、線の震えをそのまま残した手描き風の動物のような顔が大きく配され、上部には角ばったカタカナでタイトルが置かれる。下半分の白地には「普通は尊いし、普通は貴重だし」と続く帯の太い明朝体が積み重なり、上の素朴な線描と強い対比をつくる。荒削りな筆致と整然とした文字組のあいだに、はじけて混ざりあう日常のリズムが宿っている。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論