
山火事が迫る山荘に閉じ込められた人々を巡る本格ミステリ。タイムリミットのなか、災害と殺人事件のふたつを同時に解かねば生き残れない、という極限の状況下で物語が進む。カバーは、燃え盛る赤い炎を背景に、黒くシルエット化した洋館を中央に据えた構図。手描きタッチの油彩のような筆致が、迫りくる火勢と館の静謐さを同居させている。タイトルは白い明朝で縦組みに大きく配され、足元には「全焼まで、残り35時間。」と告げる鮮烈な黄色の帯。炎の赤と帯の黄が、残された時間の切迫をそのまま視覚に置き換えている。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論